東京農業歴史めぐり

足立のツマモノ

 ツマモノとは、料理にそえて季節感や風味を演出するために使用する野菜です。栗原地区を中心に扇、本木、伊興地区などで芽紫蘇、穂紫蘇、鮎タデ、ツクバネ、サンショなどのツマモノ栽培が行われてきました。

 ツマモノ栽培は、大正末期に栗原の農家が当時、穂紫蘇の栽培を行っていた現在の荒川区下谷付近より種子を手にいれたことに始まると言われています。

 ツマモノは、高度な栽培技術が要求され、出荷にも荷痛みを防ぐ出荷容器が必要で、大変手間のかかる野菜です。しかし、ツマモノ栽培は狭い面積で高い収入を得ることができ、東京という大消費地近郊のこの地域は、市場を独占してきました。

 昭和40年代に入ると、農業技術の普及により、日本各地に強力な産地が生まれるのに対し、この地域は都市化による畑の減少が進み、栽培農家も減少してしまいました。しかし、小面積で栽培できるツマモノの特徴を生かし、工夫を加えて栽培を続け、都市農業のモデルとしても注目されています。

氷川神社

足立区栗原2-1-19
(東武線西新井駅10分)
TEL:03-3883-6140